暗黒騎士団剣文録

ペンが剣より強いのは、君との距離が近いから。

原作勢が観る アニメ『やがて君になる』1・2話感想及び考察

 お久しぶりです。旧ヶ丘速贄です。

 やが君原作4巻~6巻の感想考察も未だ仕上がっていない状況ですが、アニメについての感想をやらせていただきます。

 アニメから入ってきた方も当然いらっしゃると思うので重大なネタバレは極力なしの方向でやっていきたいと思いますが、『原作勢が観る』というタイトル通り、原作と照らし合わせた際の相違点、とりわけ『アニメ化にあたりカットされた部分』及び『アニメオリジナルの追加されたシーン』を中心に話していきたいと思うので気になる方は自己責任で。

 ……というより今すぐ各種端末を閉じて書店に走れ。

 なんならこれ読む前に買ってくれ。今や端末を閉じる必要さえない時代なので。

やがて君になる 無料漫画詳細 - 無料コミック ComicWalker

 

 

 

 

 

 

 ついに始まりましたアニメ『やがて君になる』。最初に発表があった時はあまりの衝撃に発狂し、通話相手に正気を疑われたのも今となっては懐かしい話。

 それからは「アニメ化に際してなんも解っとらんカスがゾロゾロ入ってきて散々適当ほざいてコンテンツ荒らして去って行くの許せねぇ……!!」と日夜暴れ回り、かと思えば「アニメから入ってくる新規のファンもいるだろうし古参厄介みたいな言動をして作品の印象を悪くしたくない……!!」とのたうち回るのを交互に繰り返していたらいつの間にかアニメが始まってしまっていた。時の流れより怖いもんないな。

 正直今も水曜朝から金曜夜くらいにかけては「俺以外のオタク一人も要らん、俺とコンテンツだけが在ればいい、俺だけがこの作品と向き合う権利を有している」という行き場のない怒りに燃えているのだが、金曜の深夜になれば「なんて凄まじい作品なんだ、何もかもが信用できる、観れば解る、〝解らされる〟だけの圧と質がある、人としてこの世に生を受けたのに観ずにいるのは勿体ないな……!!(57577)」という爽やかで清らかな感情になるので何一つ問題ないです。このローテーションが多分三ヶ月続く。

 

 その発狂している時間と労力を何か有意義に使いたいと考えこうして筆を執った訳ですが、「『やがて君になる』が面白い」という事自体は俺自身何度も何度も何度も言い続けている事なので、(こんだけ言ってんのに未だ観てねぇ読んでねぇフォロワーは何をやってんだほんまに?)今回は新たに「『やが君』がアニメーションとして再構成された際に、どこがどう変わってどう面白くなったのか」「アニメーション化した事で新たに解った事」について考えていきたいと思います。こればかりは原作既読者の特権なので。

 

第一話 『わたしは星に届かない』


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 第一話冒頭に登場する小糸の私物の少女漫画とラブソングのCDが原作と異なる。

もうこの時点で「そんな事まで?!」と言われそうな気がしますが、そんな事までやります。

 

 アニメ版だと明確にタイトルが付けられているけどこれなんか元ネタあるんですかね?軽く調べたけど解らんかった……心当たりあればどなたか教えてください

ちなみに冒頭のモノローグも

少女漫画やラブソングのことばは

キラキラしてて眩しくて

から

少女漫画も、ラブソングの歌詞も

わたしにはキラキラと眩しくて

でも、どうしても、届かなくて

に変更されている。f:id:kskitaminz:20181015055357j:image

『届かなくて』という台詞と共に手を伸ばすカットが追加されているのは重要なポイントだと考えられます。

 


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 遠見東高校の外観と見取り図。アニオリ。我々にとっても貴重な資料です。

校舎が『工』の字型になっているのが特徴的で、


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教室の窓からグラウンドが見える事、


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廊下を挟んで教室と反対側の窓からもう一つの校舎が見える事、の二点から奥側の校舎に生徒達の教室はあるっぽい。

 さらに上2シーンの窓の外から見える景色の高さに注目する事で、二年生の教室は上の階にある事も解る。

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下校時に階段を降りている描写もあるのでこれはまぁほぼ確定か。

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 ちなみに、見取り図では省略されているものの体育館と手前側の校舎には連絡用通路が存在しています。


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 七海が告白される場面に出くわしてしまった小糸の姿勢が逆向きになっている。それに伴って告白した男の表情を覗くシーンがカットされている。小糸が鞄を持っていないのも相違点の一つ。


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 謝る小糸。原作では見えていなかった両手の仕草がかわいい。


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 七海のリボンを確認して上級生だと認識する場面がやや後になっている。七海と小糸は10㎝以上差があるため並んで歩くと視線の先が首下になるんですよね。

 この場面に限らず、アニメやが君1話には「小糸侑の一人称視点で描かれたシーン」が数多く存在する。

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『好き』や『特別』を知っている人間の方が多数派であろう視聴者に対して、知らない側である小糸侑の一人称視点をぶつけてくるの、実はかなり挑戦的な試みだと俺は思っていて、でも   そういうところが好き。

 


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 自己紹介をする七海燈子。原作ではフキダシで隠れていた左手が見えている。こういうのアニメならではだよな~~~

生徒会室の映る角度も若干変わっています。

 


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 原作ではぼかされていたLINEの内容。小糸に告白した男子はどうやら中学高校と野球部らしい。

 小糸がソフトボール部だったのでその辺の繋がりで知り合ったんじゃないでしょうか。三年間クラス同じだったらしいしそこもあるかも。

ソフトと野球だとダイヤモンドの大きさが全然違うけれど、(そもそもマウンドが別物ですが……)中学の部活動だし同じグラウンドで練習している可能性は高いと思われる。

ていうか学校のグラウンドって野球部サッカー部陸上部その他諸々の野外運動部が大集合するので、弱小部に入ってるとそれだけで肩身狭くならん?物理的な意味でも……

 野球部用のグラウンドが専用に作られている可能性もありますが、中学ならよっぽどの強豪校でもない限りそうそうないので可能性から除外しても構わないでしょう。f:id:kskitaminz:20181016061635j:image

このシーンを見る限り髪型自由っぽいのでそこまでガチな学校ではなかったんじゃないかな、と。

 ……ここで「この場面は卒業式当日なんだからその説は夏に引退して春までに髪伸ばした可能性をケアできてなくない?」と即座に殴り返してくる奴がおったらそいつは強オタやと思います。

 

 まぁいいや。はいじゃあここで唐突やが君ク~~~イズ!!

 LINEを見ている場面で小糸侑がパンを食べているのは原作通りですが、では学校昼食のシーンで小糸侑が食べた回数が多いのはパンと弁当のどちらでしょう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 正解は「どちらでもない」でした。

 弁当が一回、パンが一回。(単行本6巻、電撃大王2018年11月号時点)ある意味どちらでも正解かもしれない。

 なお、全キャラクターで計算すると弁当派の方が多く、日向朱里はパンと弁当の両方が机に置いてあるシーンが存在する。弁当のサイズも彼女が一番大きいです。流石まだ成長期なだけあるわ。

ちなみに佐伯沙弥香は弁当&水筒持参派。

 


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 恋愛の話に混ざれず、かと言って相談もできず、友人との間に距離を感じてしまう小糸侑のシーン比較。

 アニメ版では冒頭から一貫して『特別に憧れる気持ち』を『水面から射し込む光』で表現している。そしてその光の下に小糸はいない……。

 個人的に『水がなければ生きられないが、水の中では生きていけない』という人間と水との永遠の相互不理解が大好物なので、『断絶』の表現として水を持ってきてくれたのは嬉しいですね。

 


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 電気ケトルが原作と異なる。「これ原作でもどっかのタイミングで変わってんじゃね?!」と思って読み返したけど最新話までこのままだった。

ていうか1話と最新話の対比で心が痛くなった。これ全部含めて罠だった説あるな……

 


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 砂糖の残りを確認する佐伯沙弥香。

 佐伯ってコーヒーブラック派なのになんで砂糖見たんだ?という事を先行上映の日にも呟いたのですが、担当編集のクスノキ氏曰く、「新入生が入ってきたから確認した」とのこと。

気遣いができる女、佐伯沙弥香。

優しく、賢く、視野が広い!佐伯沙弥香を皆さんどうぞよろしくお願いします。

 

 ていうか佐伯の言動を全部細かく洗っている筈なのにアニメになるまで俺が気付かなかったのちょっとおかしいな?と思って確認してみたところ、
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そもそも蓋を開けて砂糖を見たのがアニメオリジナルでした。なるほどな~~

こんな感じで細かいところ補完していってほしい。

 


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 アニオリの紅茶を淹れるシーン。めっちゃ気合い入ってる。

 このシーンは「わからない」恋愛の話に混ざった事で濁っていく小糸の心情とリンクしているのは勿論の事、原作勢としては


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 前の場面で二人が既にカップを持っている事からこれは小糸が自分の為に淹れたもの、つまり「このシーンにおいて小糸侑は紅茶を飲んだ」という情報を新たに入手する事ができる。

 


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 謎ポーズ七海。アニメだと角度が変わってより謎ポーズ感が増している。

これペンの動き的にくるっと一周回してんのかなと解釈していたのですが、別にそんなことはなかった。

 


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 LINE画面その2。結構仲良さげに会話してます。

アニメ版はメッセージボックスがより現実のLINEに近い形に。

 


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 告白の返事に悩む小糸のシーン比較。

 原作では小糸に光を当てないことで二人との断絶を表現していたが、アニメ版では新たに追加された廊下の境界線の上を小糸が跨ぐ形になっている。

 ていうか今気付いたけどこれ靴下の色違くない??

 気になったので試しに原作をもう一周してみたところ、小糸の靴下は黒、白、グレー(アニメ版のやつ)の三種類があり、割合としてはグレー六割白三割黒一割くらいであった事を報告しておきます。 

 


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 七海・顔良・燈子。

 特に原作からの相違点はありませんが、顔が良かったのでつい……(強いて言えば台詞が「なんか言いたそうな」→「なにか言いたそうな」になってた事くらい?)

ていうか「なにか言いたそうな顔してるからさ」じゃないんだよお前。

常にその鋭さを発揮しろや。頼むよ。

 


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 七海の鞄に寄り掛かる小糸の鞄。アニオリ。言うまでもなく小糸の心情の暗喩です。

 鞄の話するとどうしても6巻に繋がってしまってしんどいですね、その辺も意識してアニメ作ってるんだろうけど……

 オタクのみんなも今すぐ2巻と6巻の例のシーンをチェックして限界になるわよ。

 


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 強い。

 圧がありすぎる。格ゲーのステージセレクト画面か?

 先行上映でこのシーン観た時思わず絶叫しそうになってしまったのですが、鋼の精神力でなんとか堪えた。褒めてくれ。

 だってこんなの完全に宣戦布告じゃん……

 でも〝やる〟ってんならいいですよ。完全に信用した。


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 告白の返事の成り行きを見守る七海の視線比較。

 原作では無意識に相手を値踏みするような若干冷たい目線であるのに対し、アニメ版は心配しているような表情に。

 俺は小糸の「特別がわからない」という言葉に期待半分疑い半分って感じの原作七海の目だいぶ好きです。七海にとって小糸の告白の返事は、自分の求める人間であるかどうかの関門でもあった筈なので。

 でもまぁ純粋に心配していたからこそ相談に乗った訳でもあるので、アニメ版の表情が解釈違いなのかと言われれば全然そんな事はないですね。

 


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 カップの中でハート型に反射する光。アニオリです。

 アニメやが君、水に射し込む光、重要な概念。これだけ覚えて帰ってくれ。

 


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 二回に分けて七海燈子に対し後退る小糸。

わからないし、怖いんだよな……。

ちなみに原作では一回です。


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 「好き」を知り、輝く七海の瞳。

 1話前半と後半で七海の言動に大きくギャップがあるの、「七海燈子」という存在が多面的な人物である事をこの時点で示唆しているんですよね。

 そしてこの後の「この人が何を言っているのかわからない」という台詞、視聴者の感情を代弁しているかのように見えて実は視聴者の「解らなさ」と小糸侑の「わからなさ」の間には根本的な違いがあるの、上手いよな~と思う。

 ていうか七海燈子の事わかる奴そうそういないでしょ。本人もあんまり自分のことわかってないし……多分某キリンでも「わかりません」って言うよ。

 

 

第2話前半『発熱』

七海燈子、発熱すな~~~!

ではここから2話についてやっていきます。

 


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 実力テストの成績上位者表が見やすくなっている。得点は変わらず。

 七海佐伯、三位と三十点以上離してワンツーフィニッシュなのか……半端なく強い事が解りますね。


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 小糸の後ろ姿を見かける佐伯のカット。アニオリ。

1話に続いて廊下に引かれた境界線の上を歩いており、描写に一貫性がある。

 

ここからOP映像。

先に宣言しておきますが、花言葉には触れません。付け焼刃の知識で専門家とはやり合えないので……それ以外の事について触れていきます。


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 『恋』というワードから連想されるピンク色の花弁ではなく、青い花弁に二人で指を添える七海と小糸。

 顔が映っていないので七海と小糸だと確定した訳ではないが、ちらっと映ってる脚と文脈から判断して七海小糸だと決め打っても構わないだろう。(メインキャラでストッキングなのは佐伯と七海、よってどちらかは確定でどちらかは除外。当然女子制服なので男子キャラと学生以外は除外、上着着ない朱里も除外していいと思われる)(条件だけ考えたらこよみと佐伯とかもあるけどほんまにその組み合わせでやります?って話になってくるので……)


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 原稿用紙にこよみが書いている文章。読める範囲で書き出すと、

…みんな昔の_______思っ___

今の私が居なく_____しい…

そんなの考えもしな___た

私が__め__…

私のなりたい____?

 あれですね。ピンと来ない人は原作6巻に飛んでくれ。

 


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 小糸侑が教室から居なくなった後、後ろの扉が開いている。


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 佐伯の持っているコーヒーカップ。最近の佐伯めちゃめちゃ珈琲属性で推されてない?

 七海が席を立った事で水面が僅かに揺れているのと、咄嗟に七海の方を向く佐伯の視線が反射している。


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 離れていく七海に手を伸ばすが届かない佐伯。

 さ、佐伯沙弥香~~~~!!!

 こちらでも後方の扉が開いているのと、七海の机には写真立てが置いてある。まぁあの人の写真と見て間違いはないでしょう。

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  佐伯沙弥香、「手は伸ばすけれど追い掛けはしない」女なんですよね。相手が自分から離れていくという事は、自分の言葉や行動が求められている時ではない、という事を理解している人間なので……

 ちくしょ~~~……佐伯沙弥香、割とワガママ王者決定戦みたいなところあるこの作品の中でも一際賢く、優しく、相手を慮る事ができる人間なんですけどそこがむしろ……みたいなところがあり、もっとワガママに生きてくれ~~~……!

 いや、でも俺は彼女の強さと賢さに裏打ちされた優しさ、気高さ、潔さを何より信用しているので……そのままでいてほしい……

いや嘘、今のなし。この作品の話してる時に「そのままでいて」って言うのマジでやめましょう。好きなように生きてくれ、自分の正しいと思った道を歩んでくれ、何が幸福なのかは自分で考え自分で決めてくれ、生きてさえいればお前は絶対いつか上手くいくから、生きていてくれ、お願いします……


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 廊下に佇む小糸。ここでも「特別」との断絶の象徴である『水』の表現が使われているほか、窓から射し込む光が小糸に直接当たっておらず、光が満ちている階段の上へと向かうための両脚は水に浸ってしまっている。

 またしても境界線の上に立っている事も見逃せないポイントだろう。

 


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 手に持っているものは担当編集クスノキ氏曰く『鏡』。

 七海燈子の顔が映っている。


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 廊下の境界線上に立つ七海。

 原作になかった『境界線の上に立つ、上を歩く』という表現がここまで頻出するとなると何らかの意図をもってやっているのはほぼ間違いないのだが、その意図がなんなのかはまだ少し掴めていない。

 『境界線の上』というワードからぱっと連想できるだけ並べてみると、『どちらにも属さない』『右も左もわからない』『中立』『一本道』『綱渡り』とかになるけど、うーん……考えます。

 


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 鏡で顔を隠す七海。小糸の顔が映っている。

 考えるべきポイントは「二人の立っている位置がまるっきり違うのに互いの顔が映っている」というところかもしれない。

 七海と比べると小糸の顔が花で殆ど隠れてしまっている事も重要か……?


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 蔦のような植物で作られた小糸と七海。

 蔦が自分を縛るように絡まっている事と、二人とも仮面を付けている事に注目。

 

 

 ここからまた本編。


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 そっぽを向く佐伯。原作より不機嫌なのが解り易くなっている。

 結構露骨に拗ねる女、佐伯沙弥香をよろしくお願いします。


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 原作だと「どうして?」の後そのまま佐伯の台詞が続いていたが、アニメ版では「どうしてって……」と言い淀む七海の台詞が追加されている。多分言い訳をここから急いで考えたんだろうな……

 


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 ジェスチャーだけで佐伯に髪を結んでもらえる七海燈子。アニオリ。

 この行為、「自分たちの間にはこれくらい深い信頼関係がある」という事を他ならぬ佐伯自身に証明させる事でこの後に待っている交渉を有利に進めるための材料にするっていうハチャメチャに強い一手なんだけど、こういう事を無自覚にやってくるから七海燈子はずるいし強いんだよな……

 


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 アニメではカットされた佐伯のモノローグ。

 例の話が来るまで小糸以外のモノローグはカットする方針で行くのかな、と思ったけどそれだと槙くんの話やるの難しいしな……どうなるんだろう。


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「これで落選なんてしたら怒るからね」

 

「任せて 絶対会長になってみせる」

 皆さんこの言葉をよ~~~~~~~~~~~く覚えといてください。


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 …………………。

 なんでもないです。次行きましょう。


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 後方彼氏面七海燈子。

 佐伯と一緒に頼むとかそういう事をするでもなく本当にただ後ろの方で立ってるだけ。なんで来た?


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 ちなみにこのシーンでちらっと映ってた箱崎先生がアニメ版だといなかったり。


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 小糸に自分の原稿を渡す佐伯。ここで小糸侑に協力できるの地味ながらかなり強力なムーヴですよね、佐伯沙弥香……七海を会長にするためとはいえ。

 利害が一致した時は結構仲良く協力してる(本人達に自覚はない)小糸と佐伯の関係もこの作品を観る上で重要なポイントです。注目してね。

 


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 鳴り渡る警告音。七海燈子に対してとも、小糸侑に対してとも取れる。


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 降りる遮断機と通過する電車。『一方的な感情・行動』の暗喩である事は言うまでもない。


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 何やってんだお前!!!!!!

 お前お前お前ほんま、何????会長選挙も近いのに後輩に合意なくこういう事をお前な、不祥事とかそういうレベルじゃねーぞ立場解ってんのか!!

 さっき平然と佐伯に「絶対会長になってみせる」とか言ったその口で小糸にいきなりお前……はぁ~~~~?????ありえんのだが????選挙に出るって自覚あんのか???これから生徒の代表になろうとする人間のする事か???

 下手したら大事ですよ、いや下手しなくても大事だわ!!

 ほんまこいつ……人間ってどうしてこう、こと恋愛になるとすぐ後先考えなくなっちゃうかな~~~見境なくなっちゃうかな~~~……恋は盲目、愛は茫漠、この世は地獄ですよほんまに……

 2話までご覧になった皆さんもそろそろお解りになって来たかと思いますが、この作品は七海燈子の一挙手一投足一言辞に対して「お前な~~~~」「この女……」「暴れが強すぎる」「なんでも顔面の良さで解決すな~~~!!」とキレ散らかすのもお楽しみポイントの一つですからね。

 それにしてもここ他人に見られてたらどうするつもりだったんだ本当、「誰も見てないからやっちゃえ」じゃなくてなんも考えずついやっちゃってますからね七海燈子、マジで電車が通ってくれなければ全てが終わりだった、ありがとう電車……俺は電車に感謝する信者。


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 止まった(ような)時間が先に動き出すのは七海の方。


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 七海の心情の吐露を聞いている間も、小糸の時間はしばらく止まったまま。
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  ちなみに身体が動き出すのも七海の方が先です。

 ガードさせて有利フレーム取れる無敵技を持つな。

 

 

 

第2話後半『初恋申請』

 七海燈子、初恋申請すな~~~~~!!


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 小糸に謝る七海。その日の内に謝っとけ。

 ちなみにこの話をする場所が廊下からベランダに変更されています。f:id:kskitaminz:20181019091633j:image


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 一人では境界を越えられない小糸侑。アニオリ。

 こういうとこ見ると小糸姉の「引っ張りまわしてくれる人がいるといいんだけど…」という台詞が小糸侑という人間の本質を突いてる気がする。


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  佐伯沙弥香が達筆になっている。

  書道もできる女、佐伯沙弥香をよろしくお願いします。

  何気に硯の位置も修正されてますねこれ……

 


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  自分よりも先に『特別』を知ってしまった七海に対する小糸の心内表現。

 アニメ版では一貫して『特別』との断絶を『光の届かない水の中』で表現していくと考えてよさそう。

 ここまで水と光に力を入れてくれるなら5巻の例の話が今の内から楽しみですね。あそこまでやるかどうかは有識者の中でも意見分かれそうだけど、俺はやる方に命賭けます。ていうか切るとしたらあそこしかないと思っている。


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 七海からの連絡が入った際、小糸が音楽を聴いている。

 細かいけどいい改変だと思う。


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 光のない部屋で一人佇む小糸侑。

 小糸侑、自分と同じだと思っていた七海燈子が特別を知ってしまった時に「騙された」「裏切られた」と思うのではなく「私が勝手に期待して勝手にがっかりしてるだけだ」ってちゃんと自分の中で処理できてるの偉いんだよな……人格者だ……


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 空を見上げる小糸。アニオリ。

 月の光も、星の一つも見えない夜の空。

 彼女が星に届くのはまだまだ先になりそう。

 


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 喫茶店Echoの外観。原作だと実は看板の文字に表記揺れが発生しているのだが、アニメはEcho表記で行くらしい。

 看板の表面がEcho表記で裏面がecho表記の可能性まで俺は追ってるんだけど、そういうところの確認もアニメで楽しみにしている点の一つです。

 


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 喫茶店Echoで「好きでいさせて」と小糸に頼む七海。読み合い拒否が強すぎる。

 七海の背には光が射し、小糸の背には影が落ちている。


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 ちなみに、七海が喋る時に窓から光が射し込んでいる。


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 小糸の返事を少し怖がる七海。こうやって無意識にちょいちょい弱みを見せてくるのもずるいポイントだよな~~~……


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 小糸が返事をするシーンではまた光から影に切り替わっている。

 


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 『特別』に届かず光と色を失う小糸侑とは対照的に、『特別』を知りきらきらと輝き煌めく七海燈子の瞳。

 『特別』を知った人間と知らないままの人間、混じり合わない二人の感情と、それでも続く二人の関係を提示して第2話は幕を閉じる。

 

ここからED映像。


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俺の勝ちや。

 初見の時思わず天井殴らんばかりの勢いでガッツポーズをした。

 いやだってまさかスマホバーから拾ってくるとは思わないでしょ。  原作のカバー裏や単行本の書き下ろしイラストからもガンガン小ネタ引っ張ってきてるし多分制作陣も年季の入った強豪オタクなんやろうな……信用できる……

 今俺の中では「お気に入りのグッズがEDになるとうれし~~~~~!!」「一対一かつ口元と耳元を覆い隠す『糸電話』というツールで『二人だけの秘密』を表現してるのいいよね~~~!」と舞い上がっている善の自分と、「糸電話は『話す側』と『聞く側』の一方通行でなければ成立しない概念なんだが???」と揺さぶりをかけてくる邪悪の自分が激突している。

 解釈に善も悪もねぇよ。


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 七海燈子から一番近い位置にいる佐伯沙弥香。

 お前はそこに居るが故に、そこに居たいが為に、佐伯沙弥香……


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 重ねて置き去りにされた糸電話。

 超好意的に解釈するなら重なり合う送話口=キスの暗喩という事になる。

 都合良く解釈するなら糸電話がいらない、つまりもっと近い位置で双方向の会話ができるようになるという事。

 悪く考えれば「もう話す事はない」という事の暗示とも受け取れるし、『捨て置かれた赤い糸』として見る事もできる。

 どれが最も近いのか、二人の関係の終着点はどこなのか、原作勢の俺にもまだ解りません。どれも十分あり得る、としか。

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 信じるしかない……。

 

 

 という訳で、以上原作の重篤なオタクから見たアニメ『やがて君になる』1話2話の感想でした!

 原作をどれだけ深く読み込んだつもりでもアニメを観ると新しい発見があり、既読者にとっても楽しいつくりになっています!

 丁寧な表現の一つ一つや細かいネタの拾い方等、画面の端々からこの作品に携わってる人達マジでやが君の事好きなんだな~~~!と、一ファンに過ぎない俺まで何故だか嬉しくなってしまう。

 アニメからやが君に触れた人も、是非是非原作に手を出してみてください。単行本は先月6巻が出たばかり、アンソロジーとノベライズも控えているので波に乗るならこっからでも全く遅くはないですよ。

 

 制作陣の溢れ出る熱意に圧し潰されないよう、マジの本気でこの作品に向き合っていきたい。それでは次回の記事でお会いしましょ~~~

 

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